【無料】でプロ・インタビュアーに問い合わせてみる
A.I.P. journal
“A.I.P.Journalは、人の“思い”や“知見”が集積するインタビュー・プラットフォーム。インタビューイーが語るリアルなエピソードの中に、現代社会を生き抜くヒントを読み取ることができます。

専門家が語る民泊の基礎知識(2/2)

2019年11月3日

マンションや戸建て住宅の空き部屋を活用して宿泊客を受けいれる「民泊」。新たな資産活用法として注目を集めているが、果たしてチャレンジする価値はあるのか。メリット・デメリットについて聞いた。

――自分が所有する物件を民泊として活用することのメリットとデメリットについてお聞きしたいと思っています。

メリットについては、様々な観点があるかと思います。まずオーナーが同居している物件であれば、外国人利用者との文化交流が可能に。興味がある人にとっては、自宅に居ながらにして、かけがえのない体験価値を得ることができます。民泊の本質的な魅力は、こうした国際交流にあると思っていますし、私自身、そういった機会や施設を増やしていくことで、外国人の方に日本の良さを理解していただき、何度も訪れてくれるようなリピーターを一人でも多く増やしていきたいという思いがあります。

また民泊には手軽に宿泊事業にトライアルできるという側面もあります。例えばマンスリーや2~3ヶ月単位といった比較的短期の賃貸で物件を回している方であれば、どうしても入れ替え時に一週間程度の間が空く時があるかと思います。その空白の期間を短期の宿泊客で埋めて、稼働率をあげるためには有効かと思います。実は都内においてはそういった運用をされている方が多かったりします。

――デメリットはないのでしょうか。

もちろん、あります。皆さんが一番気になるのは税金の話だと思います。居住用の建物には固定資産税の減免措置がありますが、事業用の建物にはありません。365日通年で運営すればホテルや旅館と同じ事業用建物となるのは間違いないのですが、民泊新法で制定された180日以内の宿泊利用であっても、国税庁から「実態を見て判断」という通達が出ています。すなわち自治体によっては、365日営業でなくても事業用建物とみなすケースがあるということ。事前に各地域の税務署に確認しておくことをお勧めしています。

また不特定多数の方を泊めることで発生するリスクも考慮する必要はあります。例えば、外国の方には日本人の常識が通用しない場合もあります。やっていいことと悪いことをきちんと伝える必要がありますし、近所の方々に事前説明を行うべきでしょう。民泊新法上の規定はありませんが、各自治体が独自に事前説明の実施方法や内容などを定めています。

家主はもちろん、近隣住人の方々も含む地域全体で外国人利用客を温かく迎えるのが理想です。交流ができる民泊のように、人の血が通っている物件は比較的リピーターを生みやすく、結局“あの人がいるから行こう”という人情は外国人も日本人も同じです。

むしろ欧米諸国の方のように旅慣れしている方々にとっては、どこに泊まっても同じような体験しかできない施設よりも、より個性的で人間味ある価値が享受できる施設を好む傾向が強くあります。オリンピック後も継続して利益を出したい、建物を活用したいという方であれば、やはりこういった交流のできる民泊を始めたほうが良いかもしれません。

行政書士TLA観光法務オフィス
代表行政書士
谷内田真也
Yachida Masaya

行政書士。平成生まれ。25歳で独立。旅行業、ホテル・民泊許可、外国人のビザ手続きを中心とした観光法務の専門家。星野リゾートの旅行業登録を手掛ける。年間約100件近い民泊許可手続きを取り扱う。
https://www.yachida-office.biz/

お問い合わせの前に

どんな分野に対応?どんな仕事を頼めるのか? プロインタビュアー伊藤秋廣・活用ガイド

お問い合わせ・お見積もり・ご依頼はこちら