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【インタビュー術】フラットな視点で話を聞く

2020年02月24日

年間500人以上対応のプロ・インタビュアーとして、数多くの経営者、文化人、タレント、学者、医療従事者、アスリート、専門家、ビジネスパーソンの話を深掘ってきた伊藤秋廣(株式会社エーアイプロダクション代表)が、初対面の人の心をわずか数分で開き、気持ちよく論理的に話を引き出すテクニックを、すべて大放出いたします。(聞き手:近藤由美)

近藤さん(以下敬称略):
前回は、インタビューでは論理的に聞くことが一番大事だって話をうかがいました。

伊藤:
そうそう。ただ、聞き役に徹して「うんうん」じゃなくて、ちゃんと論理的に導いてあげて、間違えちゃいけないのは考え方そのものを誘導してはいけないってこと。インタビュアーが自分の考え方を押しつけるなんておこがましい話です。

僕らは単なるスイッチでしかない。話したくなるスイッチを探して押して、考え方ではなく話しやすい道筋のヒントを置いて誘導させる。言葉に詰まったら、他の例や過去の例を持ち出したりして、もうちょっと深く、これはこういうことじゃないですか?って、虫の目、鳥の目、魚の目を通じて提示してあげるとか(第二回に登場した話)。

そういうことを繰り返していくうちに、話もしやすくなって、「そうか、俺はこういう思っていたんだ」と、インタビューイー自身が本質に近づいていく感覚ですかね。

話慣れている頭のいい人ほどいつも同じことを、「これは、こういう思いでやったんですよ」ってさらって言い流すから。でも論理的に噛み砕いていくと、欠落していることがけっこうあるのでしっかり見落とさないで、そこを失礼がないように、「これはどうして?」と聞いてあげる。するとね、相手から「良い質問ですね」って言われるんですよ。

だから理解力が大事。質問力より理解力なんですよ、インタビューに必要な力って。論理を理解して話の筋をちゃんと自分の中で順番を、ストーリーとしてとらえる。それって理解力がなせる技です。本やドラマや映画を見るのと同じように、筋を読んでいく感じですかね。

筋を追っていくと、「あれ? どこ行っちゃった?」ってわかる。それって誰でもわかるはず。その不足しているシーンを持ってきて、ここが足りないって示して、埋めていく感じですね。それって誘導でもなくて、相手が話やすいように整えてあげているイメージですかね。

近藤:
なるほど。だから、事前にインタビュー記事とか読んで、思いこんではいけないってことですね。

伊藤:
そうそう。先入観を持たないって話でいえば、僕自身が公平でフラットな姿勢でインタビューに臨まないといけない。例えば、僕が、“この話はなんか違うな”って思っちゃうと、自分の気持ちにバイアスがかかるから、その先を突っ込めなくなる。

どちらかというと、思想に偏りがないんですよ、僕。政治、宗教の話もそうだし、変なこだわりもない。他人の考え方を見下したりもしない。そういうのもあるよねっていう人。すべて全部受け入れるようにしているんですよ。

与党が野党が、右が左がっていう考えをもつと、“その人の考え方は偏っている”“俺と違うから”ってなると、それ以上のツッコミができなくなる、絶対。価値観も、どの価値観が正しくて、正しくないとか、若い人は正しくて、年寄りは正しくないとか、そういう基準もない。

僕は正しいか、正しくないかジャッジする立場じゃないもん。それは普段の習慣かもしれないけど。個人的な思想とか好みとかと切り離す。ってか、基本、偏りがない人間ではありますが。

近藤:
一旦、受け入れる?

伊藤:
そうです。一旦というか、すべて、そのまんま受け入れる。僕は単なる器だし、みたいな。それで、結果として自分とは違う考え方かもしれないけど、これは仕事なので。

その人と仲良くなるっていうと、語弊があるけど、共感っていっても仕事上の共感だよって意識があるから、だからいいんですよ、相手が何を考えていようが。僕らがやるのは、本質をたどって、論理をたどって、正してその人の論理の筋をつくってあげればいい、それだけで良いって話ですよ。
(次回に続く)