【無料】でプロ・インタビュアーに問い合わせてみる
A.I.P. journal
“A.I.P.Journalは、人の“思い”や“知見”が集積するインタビュー・プラットフォーム。インタビューイーが語るリアルなエピソードの中に、現代社会を生き抜くヒントを読み取ることができます。

【インタビューコラム】インタビューはエンターテインメントだ!

2020年05月30日


年間500人以上の心を開いてきたプロ・インタビュアー伊藤秋廣が語る「インタビューの心得」。

――プロフェッショナル・インタビューアーとしての流儀みたいなモノがあったら教えてください。

インタビューって結局、その人の内面に眠っている言葉や思いを掘り起こす作業だと思うのですよ。普段、なんとなく考えてはいたり、なんとなく意識していたのかもしれないけれど、それがうまく整理できていなかったり、言語化できていない、ものすごくレアでモヤッとした観念とかアイデアみたいなものってありますよね。それを一つひとつインタビューイーと一緒に整理しながら掘り起こす“共同作業”みたいな感覚ですね。

ですから、決して、単なる“Q&A”にはならないのです。よくありがちな、「第一問。このお仕事をはじめた理由は?」「第二問。このお仕事をやりがいは?」と台本に沿って順番に聞いていって、順番に回答してもらうのって、あまり面白くない。インタビューされる方も、事前に「こういう質問をされたら、こう答えよう」と決めてかかっているから、その“こう答えよう”以上の話は出てこないし、表面的な回答しか得ることができないんですよ。まるで台本読んでいる記者会見みたいなもので、大変味気ない。

インタビューされる方にも当然、個性があるのですから、最初から決まっている台本通りの質問では、逆に相手の考えを型にはめてしまう可能性があります。特に、インタビュー慣れしていない一般の方であれば、どうしてもうまい言葉で対応しようと思って、どこかで借りてきた言葉になりがち。決してその人の本質に近づくことができないと思うのです。

極端な話、“Q&A”形式の対面インタビューをするくらいなら、事前アンケートを埋めてもらって、それを膨らませたり、整えたりして記事を作成すればいい。インタビューされる方だって忙しいのですから、お会いする必要なんかないのですよ。せっかくお時間をいただくのですから、有意義なものにしたいですよね。

だから、私は対話式のインタビューにこだわるのです。自分の言葉で語ってほしいのですよ。インタビューのために用意した思いではなく、本音を語ってもらいたい。言葉を選ぶ必要なんてないんです。一緒に整理しながら発掘しているのですから。何度も言うようですが、インタビューは聞く人と聞かれる人の共同作業なんですから。

――対話である以上、その場をリードする力が重要になりますね。

インタビューというと、どうしても“質問力”にフォーカスされがちですが、一方的に質問を投げつける乱暴な“Q&A”ではなく、対話型のインタビューを実施する以上、“理解力”が必要ですよ。っていうか、インタビュアーにとって重要なのは、発信するチカラよりむしろ、受信するチカラですよ。

相手の話の肝を瞬時に読みとって、どのような質問を用意するのか速攻で考えるのです。しかも、相手が言っていることを単純に理解するのではなく、気持ちを理解して同化する。共感してくれる人には、さらに自分をわかってもらいたいと思いますから、もっと話したい、わかって欲しいと、自分の中のスイッチが入ります。だからどんどん話したくなる。

人は基本、自分を理解してもらいたくてしょうがない生き物ですよね。自分の話を聞いてもらうと“性行為と同程度の快楽物質が脳内分泌される”という研究結果もあるくらいですからね。でも表面的な共感は見え見えです。“わかる、わかる”と言葉でいうのは簡単ですが、相手にはすぐに伝わってしまう。

共感するためにはどうしたらいいか?大切なのは想像力と没入感ですよ。映画と一緒です。まったく経験のない職業を持つ登場人物に感情移入することってありませんか。ロシアで暗躍するスパイの仕事なんてまったく理解できないけれど、いつの間にか主人公になりきってしまう。映画の中に没入しているからこそ起こりうる現象なのかと思います。小説や漫画、ドラマもそうかもしれませんが。

もっとも重要なのは相手の社会的立場を想像して、その立ち位置に自分を持っていくことです。例えばガチガチの会社の中間管理職だったら、こんな風に行動せざるを得ないんだろう…とか、就職氷河期に就活をした学生は、たぶん、こんな風に親にぐちぐち言われたり、面接でやんわりけなされて、嫌な思いをしたんだろうな、悔しい思いをしたんだろうなとか、ステレオタイプでもいいのです。空気感を理解できればいい。相手と同じ立ち位置で共感しながら、質問者として、共感者としての自分を客体化して視る。自分の中に同時に二つの視点を置く、みたいな感覚でしょうか。

そして、共感していることを素直に相手に伝える。“この人は味方だから、安心して話していい相手なんだ”と、“理解者なのだ”と、早い時点で認識してもらうと、話ながらどんどん相手の気持ちが温まっていきます。そうすると作り笑いではなく、ナチュラルでフォトジェニックな表情が生まれる。だから、私と同席するカメラマンは、喜んでくれる人が多いですよ。“素敵な表情を素早く押さえることができた”って。

目安としてはスタートから、遅くとも5分以内には“この人には何でも話していいかも”って思わせたいですよね。インタビューが始まったら、インタビュアーとしての自分自身のスイッチもオンにします。人は初対面の人間に警戒するものですから、まずは温かい笑みを浮かべながら、“この時間を楽しみにしていました”オーラを放出しまくるのです。

“あなたに興味を持っている。だから、お会いできて嬉しい”という気持ちを表情筋を駆使して表現します。実際にインタビューは楽しいです。知らないことを知ることができるし、人から学ぶことって本当に多い。こっちが楽しいと思えば、相手だって楽しいのです。陰気臭いインタビューはNGです。エンターテインメントとして楽しんでもらう、そんな意識で臨みます。

だから、少し大げさでもいい。笑わせちゃうくらいでもいいかも。自意識としては小さな劇場の舞台俳優、お笑い芸人、あるいはライブハウスのステージに上がったバンドのボーカリストでもいい。普段の自分とはちょっと違う“インタビュアー”になりきって、テンションを2レベルばかり上げるのです。ショーマンシップを意識します。インタビュアーは相手を楽しませて、話をさせる職業なのだと。楽しい気持ちになれば、自然に会話は弾みますよ。

プロ・インタビュアー伊藤のインタビューを受けてみたい人はこちら

お問い合わせの前に

どんな分野に対応?どんな仕事を頼めるのか? プロインタビュアー伊藤秋廣・活用ガイド

お問い合わせ・お見積もり・ご依頼はこちら