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【インタビュー術コラム】どうしてインタビューすると仲良くなれるのか?

2020年07月23日

年間500人以上対応のプロ・インタビュアーとして、数多くの経営者、文化人、タレント、学者、医療従事者、アスリート、専門家、ビジネスパーソンの話を深掘ってきた伊藤秋廣(株式会社エーアイプロダクション代表)が、初対面の人の心をわずか数分で開き、気持ちよく論理的に話を引き出すテクニックを、すべて大放出いたします。連載コラム第八回(聞き手:近藤由美)

インタビュイーと読者の立場を行ったり来たり

近藤さん(以下敬称略):
前回は、相手に共感したうえで本質と論理をたどって、その道筋をつくってあげればいいという話をうかがいました。

伊藤:
そうですね。とはいえ、それだけでは足りません。さらに意識しなくてはならないのは、そのインタビューをベースに記事を書くとしたら、そこに読者の目線を加えなくてはいけないということ。読者の立場とインタビュイーの目線を交互に行ったり、来たりしながら話を聞かなきゃいけないって思うのです。

論理的に正してあげて、ストーリーを作りながら、読者が読みやすいだろうなって考えながら聞いていくのは、いわゆる読者目線で、読者が聞きたいことを聞いてあげる。それと向こうが話したいだろうなってことも聞いてあげないと。それはインタビュイーサイドに立たないと理解できない。それを行ったりきたりする記事がいい記事だなって僕は思うんですよ。

読者の目線だけに立つと、こっちが聞きたいことだけ書いてあるって感じになるんで、そこらへんにいっぱいある安っぽくて中身のない素人っぽいWEB記事になっちゃう。僕は、インタビュイーサイドの考え方、立場ってものを、読者も興味持てるようなカタチに仕立てるのが良記事だと思っているから、ちゃんと両方の目線に立っていかないと。

なんか媒体のおごりみたいな感じになるのは嫌なんですよ。新聞記者としてこういうことだけ聞けば十分みたいなのではないし、かと言って、提灯記事じゃないけど、インタビュイーが言いたいことだけをバーっと言うから書いてくれよ的なことでもなくて。第三者として読みやすくしよう、みんなが興味あること、伝えたいことをちゃんとミックスして、融合させて良いバランスで表現する方がいいっすよってことを言ってるんです。

それはできる限り、インタビュアーの聞き方として工夫してあげたほうがわかりやすいかな。質問のし方を、読者の目線でする時もあるし、向こうに共感する時もある、みたいな。まあ、ライティングについて語るのはこの企画の趣旨から外れているし、今、はやりのWEBライティングのお作法を含め、山ほど専門家みたいな人がいるから、そちらにゆだねるとして。

おしゃべりな人=コミュ上手ではない

近藤:
脱線しがちな人の話をちゃんと理解しながら聞くのって難しいですね。

伊藤:
そうですね。人って、自分の言いたいことや思っていることを完全に伝えきれていない。それって夫婦、カップルでもそうだし、人間関係もそうだし、言いたいこと、考えていることがうまく流通していれば揉めないんじゃないかな。

誤解から揉めることはなくなるっていうか、“俺、こういうことが言いたかったのに、なんか向こう勘違いしちゃってこうなっちゃったね”ってあるじゃないですか。ちゃんと理解し合えばそういうのはなくなるんじゃないかって思うし、結局、思いをちゃんと言語化しないと伝わらないわけで。

インタビュアー、インタビュイーとしてではなく、人と人がどうやって、正しく、自分の気持ちを表現できるか。それを聞く側に力があればもっと円滑にいくじゃないかなって思うんですよ。世間的には一方的にしゃべれる人がコニュケーション力高いって思われがちじゃないですか?

しゃべる前に、ちゃんと聞ければもっとうまくいくんじゃない?という感覚があって、インタビューとかヒアリングの力をつけることで、ある程度コミュニケーション力と言われているもののレベルを上げることができるんじゃないかって思うのですよ。

近藤:
納得です。私もおしゃべりな人がコミュニケーション力高いって勝手に思い込んでました(笑)。

伊藤:
絶対に違うんですよ。めっちゃしゃべる人っと会話していると、結局、「で!?」ってなるし、“俺の話も聞いてくれ”ってなります。だから聞き上手はコミュニケーション上手ってセオリーにたどり着くけれど、じゃあ、聞き上手って何?って話で。

そこを明確にして、テクニックとして確立できれば、ビジネスコミュニケーション、対面コミュニケーションを仕事にしている人に役立つメソッドができるんじゃないかって思ったわけです。根本は一緒ですよね、たぶん。最初、会って5分くらいで距離を縮めて、みたいな話は、非常にコモンなスキルだと思うのですよ。

なんかね、こういう手法でやっていると、もちろんインタビュイーと仲良くなるんですけど、同席の広報担当、人事担当者ともすげー仲良くなるんですよ、おもしろいほどに。それって、相手のことを理解しようとしているからだったり、一生懸命、場を楽しませてるからかなって。

相手を理解してあげることで、何となく場の雰囲気も盛り上がってきて、みんな引き込まれる。面白いトークセッションが目の前で展開される感覚なんですよ。すごく、楽しいインタビューだったって言われるのが、僕の喜びになっているし、得てして僕自身が楽しんでいるインタビューほど、みんなも楽しんでくれている。つまりはエンタメなんですよ、インタビューって。
(次回に続く)