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A.I.P. journal
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アイスブレイクって必要か?

2023年12月8日

インタビューにアイスブレイクって本当に必要でしょうか。しっかり考えてみましょう?ってことで、今回も本音で持論を展開させていただきます。

営業トークの鉄則として、アイスブレイクって必要だよねって話があって、それに乗じて、インタビューでも必須とか、場合によってはディレクターとか依頼主側がインタビュアーに対して、アイスブレイクを入れて欲しいとか言ってくる場合もあるのですが、では私はどうしているかというと、実はやってないんですよ、アイスブレイク。だって、よく考えてほしいのですが、私たちは45分とか1時間という限られた時間をいただいてインタビューするわけなので、まったく無駄な時間がないんですよね。アイスブレイクで雰囲気を作る時間が5分とか10分かかっちゃうなら、その5分でちゃんと核心めいた話をしてもらった方が絶対いいんですよ。だから私は、アイスブレイク反対派。

いつも私がいろんなところで述べている持論として、インタビューはQ&Aではなく、あくま対話なので、対話をしながら人間性を伝えたり、信頼関係を構築したりするんですね。アイスブレイクで期待される、相手と距離を縮めていく作業は、対話の中であったり、インタビュー本編の中でやるべきだと思っています。だって、えらい社長さんが出てきて、時間が45分しかありませんという状況で、最初にアイスブレイクなんかします?という話です。「いやいや君、何言ってるんだよ、時間がないんだよ」って言われちゃうではないですか。だからそこはいきなりインタビューを始めちゃうんですよ。

とはいえ、ずっと緊張感漂う中で取材をするのか、いきなり本題に入っちゃって大丈夫かって、心配する人もいるかと思うのですが、絶対に大丈夫ですから。対話を重ねていく中で、自分の人間性やキャラクターを出しながらお話していけば大丈夫。人って、結局どうやってわかりあうかって言ったら、対話だと思うんですよ。アイスブレイクのわずかな時間で、「私はこういう人間なので安心して話してください、楽しんで話をしましょう」って言っても、多分無理だなって逆に思うんです。いただいた45分の中で、対話を重ねながらいかに早い時点で信頼関係を結べるか、リラックスしていただけるような話ができるかというところに主眼を置いたほうがいいのではないかと思うのです。

だからこそ冒頭は重要なんですよ。先に書いたブリーフィングの中で、相手がどんなしゃべり方をするか、どのくらいの年齢でどういう人かというのを聞きますが、相手が出てきて話をするまでは正確なところはわかりませんよね。ということは、話し始めた時に、相手の話し方やテンポ、生意気な言い方かもしれませんが、論理的に喋れる人かどうか、順を追って話せる人かどうかを判断するのです。
私の場合、スタート時点では、無理やり対話には持っていかないですね。当たり障りのない、相手が事前に準備してきたであろう話から入ります。例えば、まずは事業紹介からお願いできますでしょうか?という感じで。相手が準備してきたことを話している、その時こそがインタビュアーとしての腕の見せ所でもあります。なぜかというと、中にはインタビュアーの存在意義が見いだせない人もいるではないですか。ずっとしゃべっていって、インタビュアーが差し込む間もなく、どんどん進んでしまうって場合もありますよね。質問のQ1を飛び越えてQ2まで話しちゃう人が、中にはいるんですが「、そうすると私は聞いているだけになっちゃうし、インタビュアーとしての存在価値が示せないと思うんです。だから最初の質問のときの過ごし方というか、その切り返しで相手にインパクトを与えないといけないんですよ。「こいつちゃんとインタビューする人なんだな」ということを示す、とても大事な時間なんです。

もっと具体的に言うと、例えばインタビューする時に、インタビューイー=お客さんの営業担当者が同席することがありますよね。営業担当者は常に営業に行ってるので、インタビューを受ける社長さんと仲がいいわけですよ。だからなんとなく横に座って話していると、社長さんが営業担当者に向かって話したりして、内輪的な盛り上がりになっちゃう場合があるんです。私はそういう時はあえてアイスブレイクとかしないで、普通に黙って放置してるんですよ。でも私が話をリードするところをちゃんと示さなくちゃいけない。私がリードしないで、営業さんも含めて第三者が話に勝手に入ってこられたりすると、私が考えているインタビューの話の流れやプランがどこかで崩される可能性があります。だから極力こちらから話を振るんですが、ここからは「私のステージにしてよ」「私の時間にしてよ」ってことを暗に示さないといけないんです。それをガンガン言うわけではなく、この場を仕切るのは私だということを示すためにも、最初の一発目の質問ってすごく重要なんですね。

まず相手が話しているのをしっかり聞きます、あえて黙って、相手の目を見てじっくりと。ほとんどの人が、一見、上手にしゃべれるようでいて、完全無欠に論理がしっかりしているわけではないんですね。でも、いつものように、一気にサーッと全部話しちゃう。良く聞くと、疑問とか論理の欠陥があるんですね。だからよくわからない部分とか説明不足だなって思うところをメモしておくんです。そして、ふと話の合間があった時に、私の場合は手を上げちゃうんですけど、すいません、ちょっと聞いていいですか?って。これは私の決め言葉でもあるんですが、「ちょっと正しく理解したいんですけど」っていって説明を求めるのです。「先ほどのお話の中でこういうお話がありましたが、その真意ってどういうことでしょう」とちゃんと聞くんです。そうすると、“なるほどこいつは聞き流していないな、ちゃんとインタビューする人なんだな”と見てくれるケースが多いし、そこで意識がぐっとこっちに向いてくるんですよ。私が“ちゃんと質問しますからね”という意思を示すことで、こっちに集中させるわけです。そこでちゃんと、良い切り返しをすれば、もうこっちが先導してインタビューできるわけですよ。質問を投げたことで向こうがバーっとしゃべることがなくなるわけです。「ちょっと待ってください、先ほどお話されたことはこういう意味だと思うんですが、その後どういうふうになられたんですか?」と、質問を投げかけながら、インタビュー=対話をこっちのペースに持ってくるんです。

そうすれば時間の管理もある程度できますし、自分が必要な情報にたどり着くための質問を、ちゃんと時間内に網羅できるし、無駄もない。ちゃんとこちらに、ぐっと意識を持ってくることができるんです。

そして必要があれば、同行している営業さんにも話を振ります。「社長はこう話していますがどうですか?コメントいただいていいですか?」って、そこはもう司会者のような感じで進めていきます。そうすると、“このインタビューの場はこの人が回しているんだ”という意識にみんながなってくれるので、こちらのコメントも聞いてもらえるし、ぐいぐい場を引っ張っていけるんです。そこは割と、私はいつも強気でやっています。

ただし、嫌な感じになってはいけません。あまりにも強引すぎたり、あまりにもグイグイ進めて行ってはいけないのがポイントで、私の場合には、相手が言っていることを一切否定しないで肯定し、自分をちょっと下げてみせます。「すみませんが、ちょっと勉強不足で理解不足で大変恐縮なんですけど、それはどういう意味ですか?」「こういう解釈で正しいですか?」って。そうすると相手は、「うんそうだよ」っていうかもしれないし、「いやそうじゃなくてこうだよ」って教えてくれるかもしれない。それを、「なるほどなるほど、そういうことでございますね」って言って、次の質問に持っていくんです。だから冒頭で自分のペースに持っていくというのが、すごく重要なんですね。

だから、とにかく冒頭の話は、ずーっと集中して聞いていますよ。話の切れ目のどこに質問を差し込むかなって考えながら。間断なく、ずーっとしゃべり続けちゃう人もいますよね。だから、今だ!という絶妙の隙間を狙って、ちょっとすいません!ってぐっと入っていく、あの瞬間がたまらなくスリリングですが、めちゃくちゃ重要なポイントです。このインタビューの場をちゃんと自分でコントロール可能な場にできるかどうか分かれ目ですからですから、ここで私は絶対に負けられないのです、プロインタビュアーとして。タイミングだけでなく、そこで馬鹿な質問をしないってことも重要です。要は、そこでいかに鋭い質問ができるかどうかなんですよ。インタビューをしていて、「それはいい質問ですね」って言われる時ってありますよね。そういった会心の質問を冒頭に差し込むことが重要なんです。

どういう質問が“良い質問”と言われるのか、それはまた別な機会にじっくり書きますが、概要だけいうと、褒められる質問って、色々なパターンがあると思っています。このインタビュー冒頭における良い質問って何かというと、いつも同じような話をサーッと流すように話してきて、聞き手もサーッと聞き流して、誰も突っ込んだことがない疑問とか、ちゃんと質問をしてあげると喜ぶんですよ。ちゃんと聞き流していないという証にもなるし、まともな相手なら、なるほど、もしかしたら、今まで話相手にちゃんと届いていなかったのかもしれないとか、誤解されていたのかもと気づいて、しっかり説明してくれるんですよね。そこで怒られたことは一度もありません。とにかく無駄な質問はしない、間抜けな質問はしない。相手にしっかり向き合って、全力投球で話の中の疑問点を埋めていけば、相手の本質というか、話の真意が理解できるようになります。人は自分を理解してくれる人に心を開き、親しみを覚えてくれるのです。

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