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A.I.P. journal
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リモートインタビューで意識しているアレ

2023年12月16日

リモートコミュニケーションで重要なことって何でしょう?今回も本音で持論を展開させていただきます。

リモートインタビューの最適化については、コロナ禍のなかで、かなり研究を深めました。実際に、2020年の2月くらいから、仕事が急になくなってきて、これはやばいと思って、リモートインタビューに対応できるような準備を進めました。まず、カメラやマイク照明器具を買い集めて、いかに画質や音質を向上させて、限りなくリアルと相違ない状態に持っていこうとしたのですね。また、安定接続にも留意しました。画像と音が途切れたりするのは絶対避けなくてはいけません。カメラも一眼レフ使っています。ちゃんと話が届いて表情が見えるように工夫をしています。

あとは背景にもこだわりました。記者会見場でよく見るような格子状のポスターを印刷会社に頼んで作って貼ってみたり。見る人は見ているんですよ。第一印象で皆さん驚くんですよ。「すごくインパクトありますね」って。だから、「我々もリモートインタビューを数多くやっているので、研究させていただいています」なんて説明すると、“すごそう”って思ってもらえます。期待値をあげるというか、ちょっと楽しくなりますよね、

当然のことながら服装にもこだわりました。なるべくコントラストがくっきり見えるようにしています。例えばジャケットとシャツのカラーリングとか、ネクタイもバランスよく合わせたりしています。髪型もちゃんと清潔感を出さないといけません。これは賛否両論あるんですが、私はキャラクターとして動きが大きかったり、表情が豊かだったりするので、それがちゃんと収まるような画面構成を演出します。

第一印象ってけっこう重要で、リモートであればなおさら、画面上で様々な演出を加えると、相手はテレビのアナウンサーにインタビューされているような錯覚を覚えさせるところがあるので、そこはけっこう意識していました。実際に会うときの第一印象と一緒で、まずひと目見て、“おっ!”と思わせることはかなり重要です。

一番気をつけなくてはいけないのは、音のかぶり方とか、相手の接続がうまくいかなかったりするときの対処法です。途中で画面が落ちてしまった時に、心理的に安全性を確保するために、事前にLINEで繋いでおくとか、携帯の番号を共有するとか、そういうことも準備しておきました。

あとは、画面越しでインタビューすると、リアルと違って、どうしても無機質になりがちなので、意識的にアイスブレイク的な雑談を入れています。実際に会うときよりも、もしかしたらすごくしゃべっていたりとか、最初の段階で雑談を入れたりしているかもしれないですね。先日、リモートで、福岡の人を取材したのですが、ちょっと堅い感じの会社の70代の男性と50代の女性と30代の女性が画面に並んだんですね。最初に自己紹介をお願いしますってところから入るのですが、そこで私の常套文句として、「今日はレディファーストでお願いします」なんて言ったりするんです。すると皆さん、ちょっとにやっとして和んでくれたりします。これも私の常套文句ですが、例えば質問をする時に、「この質問がどなたに適しているか私には判断がつかないので、ちょっとここにサッカーボールを置かせていただきますので、該当される方が前に出ていただいて蹴ってゴールにいれていただいていいですか?」なんて言い方をします。するとまた皆さんがにやっとされたりします。

とはいえ、貴重な取材時間をいただいているので、あまり長くアイスブレイクをし過ぎても仕方がないので、ちょっとにやっとする程度の、ワンフレーズくらいのネタを用意するのが良いかと思っています。しかもそれって無駄な話ではないわけですよ。「こういう形で取材を進めるから、そのように答えてくれ」というお願いの表現を楽しくしているだけですよね。伝えたいことを楽しい表現で伝えて、場を和ませる、そういうフレーズを用意しておくという感覚です。

これはリモートに限ったことではないですが、常套文句=こういった場合に使えるインタビューフレームワークみたいなものは割とあって、例えば“聞きにくい話”を聞くとき、「私はインタビュアーという職業上、どうしても意地悪な質問をしたり、ちょっと言いにくいことも聞かなくちゃいけないんですけど、決して私が意地悪な人間ってわけじゃないんですけどね」なんて前置きをしてから切り込んでいきますね。先に笑わせておくような感じで、けっこう使いまくっているフレーズですね。私個人としてはそんなこと聞きたくないんだけど、仕事上聞かなくちゃいけないっていう感じです、手の内を明かしちゃう。例えばドラマのNGシーンで役者の素顔を見せるようなイメージですかね。こんな言い方をすると、ニヤッと笑ってもらえます。

あとは自分の立場を伝えることもよくやります。「私は依頼者から委託を受けてインタビューをして記事を書く人間なんですが」と伝えてから話を聞いたりします。だから「第三者の立場で率直に聞いちゃいます」ってメッセージですね。あとは、「記事にするかどうかは別として」というフレーズも良く使いますね。要するに、記事にするかどうかは別として、ぶっちゃけお聞かせいただきたいんですけど、と言って話してもらうわけですね。で、重要なのが話してもらった後にフォローすること。「それってとてもいい話だったので、記事に書いて大丈夫ですか?」なんて聞いています。

楽しい場であったほうがいいけれど、立場上失礼なことも聞かなくちゃいけない時があるので、その失礼なことを聞くのも、記事を構成するためにはすごく重要なことだから、プロとして必要ですと。仕事の自分と普通の自分をうまく分けて、ちゃんと納得してもらうという感覚です。その場の空気を呼んで、どのように振る舞うかを判断し、的確な質問を投げかけていくというのが、インタビューの肝なのかもしれません。

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