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【読むPodcast】Podcastトークをテキスト化!【episode #08】2人の著名な学者から聴いた“頭の良さの定義”にまつわるエモい話

2024年06月18日

年間500人/100社にインタビューを続けるプロ・インタビュアー伊藤秋廣が、日々の取材活動の中でキャッチした、エモくてタメになるエピソードをバシバシご紹介するPodcastをテキストコラム化。“頭が良い”って、どういう状態を指すのでしょう。数学者の秋山仁先生と明治大学の斉藤孝先生という、2人の“知の巨人”の対談から読み解く、本当に必要な“頭の良さ”とは?

今までで一番、印象に残っているインタビューワークはどれだ?と問われると、私は躊躇なく、数学者の秋山仁先生と明治大学の斉藤孝先生の対談をファシリテーションした経験をあげます。

駆け出しの頃でしたね。しかもテーマは「頭が良いというのはどういうことか?」という、あまりにもふわっとしつつ、つかみどころがないもの。どんな話に展開するのか想像つかないじゃないですか。とにかく緊張しましたよ。

結論から申しますと、うまくいきましたし、それが大きな自信になりまた。話の内容もさることながら、当時の秋山先生はけっこうな自由人で、とても温かい人なんだけれども、話が広がりやすい。斉藤先生はご存じの通り、とてもバランス感覚の良い方で、うまく進行をフォローいただいたんですけど、まあ、終わったときに私の背中は汗びっしょり。後にも先にも、あんなに緊張して、あんなに達成感を覚えた仕事はなかったかもしれません。

対談ですからね。単独インタビューと違って、両者の話を聞きつつ、二人で会話が成立するようファシらなくてはならない、しかも二人とも、学者ですから、知性のカタマリみたいな方々で、あまりにも馬鹿な質問はできない。

さっきも言いましたが、この仕事をうまくやれたことがめちゃくちゃ自信になりましたし、以降、厳しい現場を体験するたびに、「あの時の対談に比べたら大したことない。あの対談を仕切れた自分だったら、絶対にうまくやれる」と自分に言い聞かせられる、ひとつの基準となりました。

で、テーマとなっていた「頭が良いというのはどういうことか?」という話、これも以降の自分の人生に大きな影響を与えてくれたというか、自分の生き方、考え方を形作るひとつの大きな要素になったのは間違いありません。

頭が良い?ってどういうことだと思いますか?

なんとなく、頭の回転が速いとか、暗記ができるとか、要するに教育的観点から勉強ができるというイメージを持ちがちではないですか。でも、そうではないと。ゆっくり考えてすばらしい成果をあげられる人間もいるし、もの覚えが良くてもそれだけで終わってしまう人もいる。

そもそも人は社会的、経済的に成功したいから頭が良くなりたいと思うのかもしれないが、もっと先まで考えると、成功の先に、幸せになりたい、幸せに生きたいからという根源的な欲求があって、だからどういう風に生きたいかによって、頭の良さの定義が変わってくるというのです。

そりゃそうですよ。頭が良くなるのが最終目的ではないです。あくまで手段です。だから、学力ではなく、人生の優先順位を間違えないための判断力を持っているということが大切なのではないかというのですね。確かに!

要するに、自分の価値基準を持ち、正しい判断をしながら自分のスタイルを持って行動できる人が頭が良いのでは?という結論になって、なるほどーと理解した次第です。

幸せになるための頭の良さって、なんか素敵だなーと思いました。子供のころに詰め込み教育を受けて、なんのために勉強するのか?わからないし、そもそも幸せになるために必要なチカラって、意外と学校では教わらないものです。

自分が幸せになるという目的を達成するために正しい判断する必要があって、正しい判断をするためにはそれなりに知識は必要になる、それは広い視野に立って、様々なことを知っているからこそ最適な判断ができるわけじゃないですか。

知識をつけること、頭が良くなることが目的ではなく、その先、いかに幸せに生きるために正しい判断ができる人間になるべきだと、個人的にやたら腹落ちしたわけです。

別な角度からみても、正しい判断ができる人ほど成功しているような気がするのですよね。

優れたスポーツ選手もそうですね。瞬時に正しい判断をして次のアクションを起こす。だからシュートがきまる。将棋もそうですね、勝負事はすべてそう。ビジネスの世界ももちろん、タイミングも読まないといけないではないですか。人間関係もそう。言っていいことと言ってはいけないことを判断しながら会話をすることで、夫婦だって親子だって、部下と上司だってより良い関係が築ける。

そんな風に私たちは常に小さな判断をしながら生きています。その選択を間違えることで取り返しがつかなくなることもあります。もちろん、判断が間違っていると早く気づけばリカバリもできます。そういう意味でも正しい判断ができる人は、いつだってやり直せる。

もう少し深読みすると、正しい判断をするためには情報や知識が必要だという話をしましたが、正しい判断をするためにはもうワンクッションあって、集めた情報や知識を駆使して、すばやく本質を見抜くことが重要だとも言ってましたね。本質を見抜けば、正しい判断ができるというのです。

この本質の話は、本当に大好きだし、僕のインタビューワークのモットーにもなっています。インタビューって、いかに素早く、話の本質をつかめかどうかで、もちろんアウトプットの質も変わってきますし、何よりも、相手の本質を理解したことを示してあげればインタビューを受けている人が喜んでくれる。本質理解が相手との関係性をより良いものにするのは間違いありません。コミュニケーションの本質ですよ。本質を理解し合ってなければ、小さな齟齬からやがて大きな誤解、決別を生むものです。ちゃんとわかりあったほうが仲よくなれるという話です。

ということで、幸せになるために、もっと頭が良くなりたいと思っている私ですが、「プロインタビュアー伊藤秋廣が本当に聴いたエモい話」本日も最後までお付き合いいただき誠にありがとうございました。

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