【ショートコラム】導入事例コンテンツの内製をお勧めしない理由
導入事例コンテンツの内製をお勧めできない理由について、短いコラムを書きました。
様々な業界のお客様の導入事例コンテンツを数多く手掛ける弊社ですが、新規のお客様からのお問い合わせに対して、定価でお見積もりを提出すると、「今回は社内で対応します」と回答されることがあります。決して高くはないと思うのですよ。適正価格ですが、“そんなに払うのだったら、社内でやったほうがよい”と思っちゃうのでしょうね。こういってはアレですが、これだけ“導入事例をつくった方が良い”って認識が浸透するなか、“とりあえず作って並べておこう”という感覚なのでしょうか。それでは、しっかり導入事例コンテンツを作り込んでいる競合他社に負けてしまいます。
導入事例コンテンツに織り交ぜるべき「課題」「検討過程」「採用理由」「効果」「今後」といった、導入事例の型をなぞることはできるでしょう。ネット上にたくさん、制作例やノウハウが転がってますから、社内にマーケターがいて、文章や写真がお上手な方がいたら、一見、成立しそうですが、ここで私が声を大にしてお伝えしたいのは、社内対応では、どうしても手前味噌記事になるという違和感です。またインタビューする相手は発信者にとって大切なお客様ですから、遠慮や配慮からもう一歩踏み込んだ話をひっぱれない、すなわち、よくありがちな表面的なストーリーになりがちです。
導入事例コンテンツ内製が抱える、この二つの問題について詳細を解説いたします。
まず前者ですが、自社発信で自社製品を褒めるような文面を書くことに、読者は敏感にステマ的な感覚を持ちます。もちろん導入事例コンテンツの目的は自社製品の利点を伝えることですが、それが例えシナリオであっても、あえて顧客の言葉を借りて褒めてもらうことで成立する側面はあります。しかし、さらにそこにインタビュアーやライターという第三者目線を加え、客観的なタッチで書かれた記事、まるで雑誌に載っているようなタッチ(記事広告と同じ手法ですね)で描くことによって、読者に客観的な評価として受け止めてもらえる可能性が高まります。できれば、外部の人間がインタビューをして書いているのだということを示すため、聞き手・書き手の記名記事にすることで客観性は高まります。
私はあえて、すべて綺麗事だけで済ませることはしません。もちろんお客様合議の上ですが、のびしろを感じさせるポジティブな表現で、リアルな状況や残課題を織り交ぜる手法をとることもあります。またインタビューを受ける顧客も、いつもの営業担当者や取引先のマーケター相手ではなく、第三者のインタビュアーが対応することで、普段はしないような話をしてくれます。思わぬ本音も飛び出します。面と向かっていえないような、本気の感謝の言葉が出ることもあります。それが第三者介在の価値です。
そして後者ですが、ツールを提供する、すなわち導入事例コンテンツのオーナーサイドとしても、インタビュアーという第三者を介して、普段は聞くことができない本音を引き出すことができます。私も良く依頼を受けるのが、「私たちの立場からはきけないことですが、こういったこともお聞きいただけますか」という相談です。もちろん本音を聞き出すには、それなりの技量を持つインタビュアーに依頼すべきでしょう。発注者にとっては大切なお客様の接点となります。失礼なく本音を引き出し、さらに楽しい、価値ある取材時間となるような演出が何より重要ですし、それが可能なインタビュアーはそれほど多くはありません。やはり経験値がモノをいいます。