【生き残り戦術コラム】デジタルコミュニケーションツールにアレルギーを持たない


ミドルシニアが生き残るために必要となるデジタルリテラシーについて、思うところを書きました。
ミドルシニアがサラリーマン生活を卒業し、自立した“第二の社会人生活”を送ろうと考えたとき、どうしても避けて通れないのが若い世代のクライアント、もしくはパートナーとの協業です。サラリーマン時代に培った人脈はもちろん独立開業後も活かされますし、当面は人間関係の延長で仕事をもらったり、新しい取引先を紹介してくれたりするでしょう。
しかし、それだけを頼っていてはいつか営業ネタが尽きてしまいます。なぜなら、サラリーマン時代に培ってきたパイプは、恐らく決裁権を持つ同世代、もしくはお世話になってきた先輩などの役職者が中心となっていますが、彼らも私たち同様、年齢を重ねていきます。いつまでも実権を握っているとは限らず、緩やかに世代交代を進めています。
もちろん、若い世代の担当者に引継ぎはしてくれるでしょう。しかし、若世代の担当者には、我々ミドルシニアと付き合い続ける義理はあるのでしょうか、という話になります。前任者の顔を立てるために、しばらくは付き合ってくれるかもしれません。しかし、次世代の担当者にとって何ら価値のない存在と認識されたら、あからさまではないにせよ、緩やかに手を引いていきます。
私たちミドルシニアが生き残っていくためには、日本人の美徳とされてきた義理人情の世界を過剰に信じるのではなく、その昭和的意識から脱却する必要があります。それほど、世の中は甘くありません。しかも新世代の人間は、実質的に世話にもなっていない人間に対して、特別な何かをしようとなんて思いません。
とはいえ、必要以上におびえる必要はありません。ちょっと見方を変えてみれば良いのです。その新世代の人間に、どのような価値を提供するか、あるいは引き継いで顔をつないでもらったことは、今後の関係構築のためチャンスというか、第一歩と捉え、過去にしがみつかず、“前担当とはこうやってきたから”と、旧態依然のスタイルを押し付けることなど決してせずに、改めて自分の価値を認めてもらう努力をすべきでしょう。
とはいえ、別に、媚びへつらう必要はありません。すべて向こうの言うとおり合わせていたら、若い世代の人間を起用すれば良いという話になり、ミドルシニアならではの価値がなくなります。私たちは経験を売っていくべきというのは、他の記事でも書きました。勘違いしてはいけません。ここで“合わせるべき”と言っているのは、仕事の中身の話ではなく、仕事の進め方やコミュニケーションの手段についての話です。
例えば、何につけ電話をかけてくる人は若い世代に嫌われがちです。無意識のうちに避けられてしまいます。なのでメールやLINE、メッセンジャーなど、テキストコミュニケーションに苦手意識を持たないことです。間違っても長文を送りつけてはいけません。端的にわかりやすく、きちんと自分の意志や人間性を文章で伝えられるよう意識をすべきです。
また、このようなデジタルコミュニケーションツールには様々な種類があります。前述したメール、LINE、メッセンジャーだけでなく、Slackやチャットワーク、はたまたXのDMなど、クライアントや担当者によって違います。もちろん、クラインとはメールも電話も使っています。でも、その担当者がメインに活用するツールは、メールや電話ではないということが往々にしてあります。すなわち、こちら側の都合で「メールでやりとりをしたい」と主張せず、先方がメインで使っているツールに合わせることが重要になるという話です。もちろん、使ったことがないツールもあるでしょう。でも、そこはためらうことなく、「使ったことはありませんが、これを機会にトライしたいです」とポジティブに伝えてみてはいかがでしょう。
もちろん、コミュニケーションツールのみならず、最低限のデジタルリテラシーは確保しておきたいです。クラウドを活用したファイルやドキュメント、ワークシートの共有に対する理解ももはや必須です。クライアントだけでなく、協業パートナーとの情報共有にも日常的に活用されます。デジタルツールは日々進化しています。誰もが使いやすいようにユニバーサル化しているので、過去に“わからない”“難しい”と感じていた人も恐れる必要はありません。デジタルを駆使したコミュニケーションと共有の基本的理解は、ミドルシニアが今後戦っていくうえで、必須の知見と言えるでしょう。