【インタビューコラム】要するに“自慢話”をさせているのだ


ビジネスコミュニケーションにおいて重要な「話をさせる技術」について書きました。
最近、“企業様向けにインタビューのコツを教えるレクチャーを開催して欲しい”というニーズがあって、よくよく内容をお聞きしたら「今後、ユーザーへの定性インタビューを内製化したい。未経験なのでコツを教えて欲しい」という。それでは僕らプロインタビュアーとして“商売あがったり”ではないかと思いつつ、“面白そうだな”と思ってしまったし、まあ、今後も様々な企業内でこういったニーズが生ずるかもしれない、だから一度、自分がやってきたことを整理して体系化し、今後、展開するかもしれないレクチャービジネスの骨格でも作ってみるかってノリでお受けして資料を作って実施した。
いつもはインタビュー力をつけたいライターさん向けにセミナーをしてきたが、“書く”という前提がないビジネスパーソン、マーケターに話すのは初めての経験。しかも事前に寄せられた要望には、本当に初歩的な疑問が並んでいた。「無言になったらどうする」「効果的なアイスブレイク」「こちらから誘導しすぎず深堀りする聞き方」とか。なんか新鮮だなぁというか、インタビューやったことないと、こういう点が気になるんだなと思った。
で、素人に本音をしゃべらせるのはどうすべきか?いつもの取材ライター向けのセミナーで話している内容と同じで「人は楽しいときにおしゃべりになりますよね」、と。では、どうしたら楽しいか?それは「人は自分の話をわかってくれる人に話したくなる生き物ですよね」と、そんな調子で、具体的な例をあげてべらべら話したのですが、そのときに気が付いたのが、そうか、私はインタビューイーに“自慢話をさせているんだ”という事実。相手の話を理解して、咀嚼して要約して言語化する、そしてその場で気の利いた褒め言葉を挟みながら、自慢琴線をビンビン揺らせる。正しく物事を理解している人、もしくは何らかの権威のある人から的確な基準を示されながら褒められたら気持ちよくなるし、わかってくれる人にはさらに自慢話がしたくなるではないですか。自慢話を聞いてもらいたい→わかってくれる伊藤さん大好き→もっと話したいとなる。
もちろん単なるおしゃべりではなく、取材だから聞くべき内容は指定されているから、そのテーマに沿った自慢話をしてもらう。開発者だったら、どのプロセスを褒めてもらったら嬉しいのか。自慢できるところはどこか。この自慢話を正しく理解してもらうために、人は一生懸命にわかってもらいたいと努めるし、そこを正確にキャッチして、全力で感動したり褒めてあげたら、そりゃ嬉しいから、“ここだけの話”をたくさんしてくれる。
レクチャーでは概ねそんな話をしてご理解をいただき、面白がってもらえた。「勉強になった」と言ってくれた。で、ただ私も口だけで言ってもなんか信頼されないかもと思って、ひとりユーザーを見つけてきてもらって実際にオンラインで見せながらインタビューをしてみた。もちろん、仕込みではないのでぶっつけ本番というか、いつも通りプロインタビュアーとして初めてお会いする60代後半の一般ユーザーの話をきいた。ちゃんと基本に忠実に盛り上げて火をつけて、自慢話をしてもらいながら、用意していた質問を全網羅。もちろん本音をべらべらしゃべらせることにも成功した。
けっこうインパクトあったみたいで、終了後のMTGでは「すごかった」と驚かれたりご評価いただき、「さすがプロ」とお声がけいただいたが、逆に自分たちでできるか?という疑問やら不安にもぶちあたったみたいだったので、「いつでも呼んでください」という営業的トークでMTGを締めくくった。インタビューは誰もができるようで、単なる会話とインタビューは似て非なるもの。単なる表面的な会話ではちゃんと相手のインサイトに迫ることはできない。イマドキの素人さんは、定性インタビューに臨むにあたり、ちゃんと事前に模範回答を用意してくるから、本音なんて見えてこない。そういった意味でも、プロは良いですよ、外部(第三者)に委託した方が良いですよと、ことあるごとに言っている。嘘だと思ったらぜひお試しいただきたい。







