【BEST INTERVIEWS】映像作家・大須賀淳さん
映像作家の大須賀淳さんが活躍するフィールドは実に幅広い。様々な企業から依頼を受けて制作するプロモーション映像はもちろん、学生に向けて開催される会社説明会や株主総会の場で放映される映像、あるいはCSの通販番組や各種セミナー映像、ウェブ動画まで手がけている。
「以前はCMの延長線上にあるような、ブランディング重視の映像作品が所望されるケースが多かったのですが、最近では企業が求めるニーズも徐々に変わってきているように思えます。ご存知の通り、ウェブの世界においては、アクセス数はもちろん、そのうちの何人が実際に購買したのかまで数値で結果を確認できるようになりました。そのため、映像に対してはっきりとした効果を期待する企業が増えているのは確かです」
確実に結果を出す映像を作る。顧客からそんな強烈な命題を与えられていると自覚する大須賀さんは、一般的な映像作家とは一線を画し、コンサルティング領域にまで果敢に踏み込んでいくのだという。
「ヒアリングの段階で、いかにクライアントの要望を正確にくみ取るかがポイントになります。まずは、映像制作の目的は何なのかということを明確にします。例えばそれは”集客”なのか、”ブランディング”なのか、その場で購買につなげたいのか、あるいはリピーターを作りたいのか。それによって表現方法もニュアンスも違ってきます」
クライアントと共に話し合いながらプロとしての提案を繰り返すことで、常に“効果”というものを意識した映像を作っていく。そんなスタイルで仕事をする映像作家は、業界内を見渡してもまだまだ少ない状況なのだとか。
「数多くの経営セミナーやマーケティングセミナーの映像制作に関わっていくうちにコンサルティングのノウハウが、自分の中に確実に蓄積されていきました。効果が生まれた手法を応用しながら実際に映像化し、さらに効果を測定しながら分析を繰り返し、独自の映像制作のメソッドのようなものが構築されてきたのです」
しかも必要であればプロデュースからシナリオ制作、現場におけるディレクションや演出、撮影、そしてBGM制作、編集まで、映像制作におけるすべてのスキームを一人で対応する。
「多くの人間が制作に関わることで、往々にしてお客様の意図するところからどんどん離れていってしまうものです。ニュアンスが変わってしまうことは致命的ともいえるので、それを避けるために一気通貫で対応しています」
クライアントの意図を反映しつつも、しっかり結果を出すことにこだわり続けてきたからこそ、多くのお客様との信頼関係を構築することができたのだろう。