2019年10月26日

徹底討論「民泊事業のリアル」(その2)

新たな資産活用法として注目を集めている民泊。前回の記事では、二人の専門家に昨今のリアルな民泊事情を聞いた。さらに具体的に、話を深堀していきたい。

宗 華さん(右)
中野区の自宅、千葉県の実家の活用を皮切りに、千葉・東京エリアに数軒の民泊を運営。成功を果たしている個人事業者

八坂太洋さん(左)
楽天株式会社を経てTOKYO307inc. CEOに就任。ホテル、旅館、民泊、レンタルスペース等あらゆる空間活用のコンサルティング業務に従事


――前号では、家主不在型の民泊を運営されている方が増えているとお聞きしました。事業者ではなく個人オーナーが家主不在型の民泊を運営するには、一般的にはどのようなケースがあるのでしょうか。

八坂 所有か、転貸かの2パターンでしょうか。ワンフロア貸し出しという方もいらっしゃいます。そこからさらに拡大したいと考えた場合、宗さんのように、どんどん箱を増やして、借り手を増やしていくのが正解でしょう。それは所有であっても転貸であっても同じことですね。

――所有だけでなく、転貸というパターンもあるのですね。拡大していくにあたって、どんどん所有していくのが今的に正解なのか、それとも借りて転貸するのが今的なのか。実際に民泊を運営されている宗さんはどのように思われますか?

宗 それはオーナーさんの立ち位置によって変わってくると思いますよ。投資家だったら購入していくことに抵抗はありませんし、融資も引っ張れますから、都内でも地方でも旅館業法が適用できる物件があればどんどん購入していきます。地方ばかりを攻めている人もいるのですよ、買うと安いですから。場所によってはインバウンド需要があるんですよね。北海道の小樽とか伊勢神宮周辺の物件を購入している方もいます。本当に色々なパターンがあって、その人の攻め方にもよりますね。都内でマンション1棟買って、そのマンションを旅館業法適用の仕様で作っちゃう“メガ大家さん”みたいな方もいらっしゃいます。まあ、いうなれば家に投資していたのが、旅館や民泊に変わっただけというか。

――新しい物件を増やしていくのって、けっこうリスキーではないのでしょうか。

宗 家として貸し出せるようなかたちで買っておいて、旅館業からいつでも戻せるようにするのは大事なのかなと思います。マンションを持っているオーナーさんも一緒で、最悪自分の得意な領域に戻せば良いだけ。必ずしも民泊一本で突っ走る必要はありません。元々、利回り的に賃貸条件に合うものを買っていくので、もし旅館業に適合した物件だとプラスにしかならないですね。リスクはほとんどありません。私は違うのですが、周りの方を見ると堅実な方が多いですね(笑)。

八坂 相場観みたいなものが積み上がってくるんですね。宗さんはその感覚を持ち合わせているのだと思います。
宗 購入の場合、あまり冒険はしないほうが良いと思います。

――そうなると、転貸のほうがハードルが低そうなイメージがありますね。

宗 いや、実はそうでもなくて、まず大家さんが貸してくれないのですよ。オーナーさんがまず理解があるかどうかですね。でも理解がある大家さんは、人に貸すより自分でやったほうが早いと気づいてしまうのです。なので、貸してくれる物件がどんどん減っていく。

八坂 一時期は転貸専用のメディアサイトも盛り上がっていたのですが、貸し手が少なくなっていることもですが、借り手側も採算が合わないことが多く下火というか、そんなに多くなくなってきていますね。

――転貸はこのまま無くなっていくのだろうなという感覚ですか?

八坂 なくならないとは思います。ただ法改正以前より貸し手、借り手双方で参入障壁が高くなっていることは事実ありますので、貸す側は信用できる事業者(ホスト)を見つける。借りる側は事前のシミュレーションを綿密に行うことが大事かと思います。主要都市部は少なからず来年のオリンピックに向け駆け込みによる仕込み中と思いますので、貸してみたい方がいれば一歩踏み出してみてもよいかもしれません。
(続く)

豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー「禅CLUB」10月号に掲載