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Podcastトークをテキスト化!【episode #04】トップMR(医薬情報担当者)から聴いたエモい話

2024年03月22日

年間500人/100社にインタビューを続けるプロ・インタビュアー伊藤秋廣が、日々の取材活動の中でキャッチした、エモくてタメになるエピソードをバシバシご紹介するPodcastをテキストコラム化。ある大手製薬メーカーのトップMR(医薬情報担当者)から聴いた、凄腕営業担当者の極意みたいなエピソードをご紹介します。

今日も、日々のインタビュー活動の中でキャッチしたエピソードを忖度なしで紹介したいと思います。

これまで本当に色々な業界の企業取材をしている。業界マップとか、業界慣習とか、それなりに頭の中に入ってきまして。
ビジネスモデルとか商流とか、こんな感じで集客するんだ、こんな感じでマネタイズするんだとか。
働いている人の傾向もけっこうわかってきたりするというか、業界あるあるみたいな話とか。
いろんな業界を横並びにして、例えば同じ職種でもちょっとした違いがあったりするじゃないですか。そりゃ売るものとお客さんが違えばそうなんでしょうけど、でも逆に共通項もあったりして。それが例えば営業職だったら、本質的な部分なのかなと。
要するに、そういった本質を理解している営業は、どんな業界でも活躍できるっていうのは、そういった理由からなんだろうなと。

で、これまでの取材した営業担当者のなかで忘れられない人がいまして、それは大手製薬会社のMR。メディカル・リプレゼンタティブ、医薬品メーカーの医薬情報担当者ですね。
ちなみに一般医薬品、いわゆるOTCを取り扱う担当者のSRっていうのがいるのですか。

当時、MRってめちゃくちゃハード。ドクター相手じゃないですか。大学病院とかクリニックとかあるでしょ。とにかく時間がない。
昼休みとか夕方とか、医局に、スーツ姿のビジネスパーソンがずらっと並んでいる姿。
昔は大変だったんすよMR、ドクターの言いなり。過剰接待とか、勘違いしちゃう医者がMRを手下のように扱うみたいな時代がありました。
2012年に接待行為に対する新運営基準みたいなのができてから、そういう世界観もなくなったみたいですけど。

で、当時、大手製薬でトップをはっているMRのインタビューしたことがある。教育担当になっていたのかな。すごいんです。

今でも忘れられないのが、営業前のリサーチの話ですよ。

はじめて訪問するクリニックで
わずかな時間の中で関係性を作るために下準備をしたいですけれど、ドクターの情報なんてネットで拾えないじゃないですか。事前準備できない。どうするかっていうと、
たとえばクリニックだったら、駐車場に行く。車を見る、ベンツだったら、アウディなのか、とか、綺麗にしているのか、汚いのか。忙しい先生かずぼらなのか。中を見るとチャイルドシートあるとか、子供いるなとか。ナンバーも見たりとか。住んでいる地域とか。

さらにクリニックに入る。おいてる雑誌、飾っている絵とか、こだわっているのか、掃除は行き届いているか、受付の女性の年齢とか。ドクターにあうまでに人間像をプロファイリングするんですよ。まるでシャーロックホームズですよ。かの名探偵は、依頼人がベイカー街にあるホームズの部屋にくるまでの足音とか、服装や、指に先に付着しているものとか、様々な細かいヒントから推理して、その人の職業を当てるじゃないですか。あれと同じなんですよ。やっぱりトップ貼る人はすごい。

その話を聴いた時に、私が思ったのは、やはり自分の目で見たもの、自分の耳で聞いたこと、すなわち自らの五感で得た情報って重要だなってこと。
いつも言っているが、ある人をインタビューする前に、他のライターが書いた記事を読まない。記事ってけっきょく、そのライターさんの感性のフィルターを通ってくるものだから、それが正しいとは限らない。記事とか報道って、そこにメディアの意図みたいなものが間違いなくあるので、先入観を持ちたくないんですよ。
噂によるとあの人は、嫌な人らしいよって聞いていても、実際にあってみるとそんなことない。気さくでめちゃくちゃちゃんと話してくれるとかある。あるトップアイドルのインタビューしたときも、そう感じた。やっぱり百聞は一見に如かず。
準備は必要だけど、客観的な事実とか経歴だけ押さえておいて、あとは実際に話してみて、自分の感性を信じ、五感を研ぎ澄ましながら会話を進めたほうが良いというのは、僕のインタビューの流儀でもあります。

そのMRは、壁に飾っている絵がセンスの良いモノだったらそこを褒めたり、子供の絵が飾ってあったら、そこに触れたりとか。飾ってあるということは、見せたいというか、こういう人間だと発信するメッセージでもあるので、「それ、お子様がかかれたのですか?」とうまく会話をつなぐ。もちろん、先に駐車場に停めていた車で子供がいることは確認しているから。
ふれてほしいとか、褒められたいという事項をうまくくすぐるためのヒントを、周囲の状況から考えていく、まさにプロだなーと。もちろん失敗することもあるんだろうし、いかにも営業的だなーといえば、そうなんだろうけど、相手を理解しようとする努力は無駄にならいない。誰だって自分に関心を持ってくれる人に対していやな気はしないっすよ。もちろん、ストーカーライクになったら行き過ぎなので注意は必要ですが。

優れた人の話は本当に勉強になります。私も、これらの話の中から、自分の事業や仕事術にはまりそうな部分だけパクって、カスタマイズして成果につなげたり、人間的に成長していっているような気がします。
それこそがインタビューという仕事の醍醐味でもあります。

Podcast「年間500人以上に取材を続けるプロ・インタビュアー伊藤秋廣が、本当に聴いたエモい話」
https://a-i-production.com/podcast.html

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