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専門家が語る民泊の基礎知識(1/2)

2019年10月20日

マンションや戸建て住宅の空き部屋を活用。宿泊客を受け入れる「民泊」を運営することで副収入を得ている人も増えているという。まずは民泊の専門家に話をうかがい、基本的事項を整理・理解したい。

――まずは「民泊」とはどういうものか。その定義から教えてください。
 法律上、「民泊」という定義はありませんが、一般的には「民家を使って、そこに有償で宿泊させる行為」を指しています。元々は、海外から始まったもので、いわば「短期のホームステイ」と説明したほうがわかりやすいかもしれません。それが、インターネット上で、泊まりたい人と泊めたい人をマッチングさせるサービスが登場して拡大していきました。日本では当初、海外の事例のように戸建ての空き部屋を利用するのではなく、投資用に購入し、空き部屋となっていたマンションの有効活用法のひとつとして発展。ところが外国人利用者と近隣住人の間に文化や習慣の違いによるトラブルが多発したため、行政が動いてまず「民泊特区」を設定。国が認定した地域に限り住宅の民泊利用が可能になり、その後2017年に、いわゆる「民泊新法」制定され、特区以外の場所であっても一定の手続きがされれば、民家に宿泊客を受け入れる行為、すなわち民泊の運営が可能となりました。

――どのような手続きが必要なのでしょうか。
 大きく3つの機関における手続きが必要となります。ひとつは、建築基準を満たしているかどうかというチェック。これは市や町役場の建築課の管轄となります。そして、もうひとつが消防署管轄の手続き。原則的にホテルや旅館と同様の消防設備が必要となります。最後に保健所が管轄する、衛生基準を満たしているか否かのチェックで、宿泊施設としての営業認可ライセンスが必要となります。民泊新法の場合、180日ルールという宿泊日数の制限がありますが、建物の構造は「住宅」の基準で構いません。365日通年で宿泊させる場合、ホテルや旅館と同じライセンスが必要となり、建築基準も通常の住宅より厳しくなります。

――180日以下の運用で、きちんと手続きさえすれば、民泊は遊休資産を活用しながら副収入を得る、有効な手段となりえそうですね?
 はい。特に民泊新法が制定され、違法な民泊が駆逐され、登録物件数が大きく減少した今は、多少宿泊費を値上げしてもすぐに予約が埋まる状況になっており、少なくともオリンピックまではこの状況が続くと思われます。ただし消防設備が整っていなければ設備投資は必要ですし、“週末のみ運用可能”という条例がある地域もあります。しっかり調査したうえで、採算があうのかを判断。それから行政書士に相談して手続きをするべきでしょう。
 おすすめなのはマンションやアパートを丸々一棟お持ちの方。消防設備の設置費用は総額では大きくなりますが、ひとつ一つに部屋に分散すると投資費用の単価は低く抑えられます。また、戸建ての2階建て住宅も工事が安価となる可能性があるので転用もしやすいかと思います。さらにオーナーが居住している物件であれば、民泊管理業ライセンスを持つ会社に頼らなくても、ご自身で管理ができると申請できるので、無駄な出費もなく、比較的始めやすいのではないでしょうか。(その2に続く)

行政書士やちだ事務所
代表行政書士
谷内田真也
Yachida Masaya

行政書士。平成生まれ。25歳で独立。旅行業、ホテル・民泊許可、外国人のビザ手続きを中心とした観光法務の専門家。星野リゾートの旅行業登録を手掛ける。年間約100件近い民泊許可手続きを取り扱う。
https://www.yachida-office.biz/

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