2019年10月20日

【全部ネタばれ】年間500人の心を開いてきたプロ・インタビュアーがインタビューされて、インタビューのテクニックをすべて語り尽くした超ロング・インタビュー記事(第二回)

概要:価値を理解するための3つの目と、本質の見つけ方

年間500人以上対応のプロ・インタビュアーとして、数多くの経営者、文化人、タレント、学者、医療従事者、アスリート、専門家、ビジネスパーソンの話を深掘ってきた藤秋廣(株式会社エーアイプロダクション代表)が、初対面の人の心をわずか数分で開き、気持ちよく論理的に話を引き出すテクニックを、すべて大放出いたします。(聞き手:近藤由美)

価値を理解するための物差し

近藤さん(以下敬称略):
前回のインタビューでは、相手の話を理解することで価値化が可能だというお話を聞きました。理解するためには、インタビュアーがその価値がわかっていないといけない?

伊藤さん(以下敬称略):
そう、そこがポイント。その通りなんです。では、価値を理解するためにはどうしたら良いのか。基準が必要だって話になる。僕は物事の価値を理解するためには、虫の目、鳥の目、魚の目の3つの目が必要だと思っています。これが、色んな業界とか分野とかに関係なく自分なりに理解するためのポイント。虫の目はミクロの視点というか、虫眼鏡ですね、小さいものもしっかり見る。鳥の目は俯瞰して全体を見る。魚の目は流れ。具体的にいうと、時代の流れみたいな。例えば10年間、定点観測していると見えるものがありますよね。

例えば、音楽が好きだったとして、日本のロックが好きでずっと聞いていたら、時代の流れと連動した音とかメッセージとか流行とか変化がわかる。今、求められている音楽はこうで、こう進化して、こう退化して、こういうふうに楽器構成は変わっているというのが見えてくる。そういう目線は時代の変化の中で養うことができます。

企業の取材をするときに、“あ、これってまったく新しい最先端ビジネスなのか”“ちょっと前に主流だったビジネスを焼き直し、WEBに置き換えているのか…”“ちょっと前のビジネスにテクノロジーが中途半端に付加されただけ?”みたいに、時代の変化と併せて見ると理解が深まる。そうすると「ソリューション」とか、「イノベーション」みたいな横文字に惑わされることなくその本質を捉えることができます。

テクノロジーの進化ってけっこう連続的なもので、突然変異的に新しいモノが生まれるってことはあんまない。AIだって昔からあるし、IoTだって要は組み込みソフトだし。テクノロジーも文化も流行も時系列で押さえておくと捉えやすいんですよ。

一見、新しいビジネスのようで、何かの発展系だと、だったらどの部分が進化して、どこが便利になったのか、その背景は?みたいな疑問がわいてきて、整理して聞きやすい。「WEB上は新しく見えますが、ベースにあるのはオーソドックスな昔ながらのビジネスですね」といった視点や質問が生まれると、そこから「僕たちは昔の商習慣は大切だと思っているし、ベースだと思っている。そこにテクノロジーを入れただけなんですよ」となる。

「あ、なるほど」って。このビジネスの本質は“昔の問屋さんと同じじゃん”とか“置き薬と一緒じゃん”とか置き換えると自分も理解しやすいですよね。それが魚の目。

鳥の目は俯瞰ですよね。上から引いてみる。例えば医薬品業界の話を聞くときに、他の業界と比較して話ができる。質問するときに、「薬品業界は開発費用が製品に乗せられて、何年間かで償却しなきゃならないって話ですよね。でも他の業界だとサイクル早いですよね?」と比較しながら質問投げるから、相手も答えやすい。

ひとつの業界を深く知るっていうより、ちょっとずつ関連業界に知識とか興味とかを拡大していけばいいし、ぜんぜん関係のない業界との比較だって良い。質問するときに関連づけて比較、例示できる引き出しがいっぱいあればあるほどいいし、比較しながら物事を捉えた方がこっちもわかりやすいっすよね。同じモノと違うモノをきちんと整理して捉える。

虫の目は深く掘っていく話だから、一つの事象を深く、深く、深く掘っていく。とはいえ、僕らは専門家ではないので限界があるし、この目はあまり重視していない。バランスはとにかくとして、この3つの目さえあれば、とりあえず質問はできる。僕らは、医療を深く知らなくていいわけで、さっき言ったように、相手に話してもらえればいいんで、医薬品業界のことを深く知らなくていいっていうのが持論。

僕らは話をさせればいいんであって、話をさせるときの材料としてこの3つの目線があれば、投げかけができるんじゃないかという話です。深く理解をするためには、僕らが専門家じゃなくても理解できるように、話の構造を整理しやすい質問を投げかけて、話をさせればいい。

身近なものに置き換えたり、比較して考えれば、カタチって捉えやすいじゃないですか。概念とか話だってそう。まったく知らない業界の話でも、比較して置き換えていればわかりやすい。だったら、こっちから水を向けてあげればいい。僕らがわかりやすいように話をしてもらうために、こういう3つの目を持って質問するって感覚です。

で、自分が理解したということを「こういうことですね」って自分の言葉で投げかけて、リレーションしあうことがインタビューの本質かなと思うのです。よくQ&Aで、Q1「どうしてこの会社に勤めることになったんですか?」わーっと話してもらって、はい、じゃあ、次にQ2「今の仕事は?」って、これじゃあ、何だかね。要は「壁打ち」なんですよ。僕が質問して相手がちゃんと返してくれたことに対して、またそれをしっかり理解して返すという。これを絶対にやらなければならない。尽きるまでやっていいと思っている。こっちから話の腰を折ってはいけない、絶対に。質問を重ねていくんですよ。よく「質問力」っていうけど、質問する力より理解する力のほうが大事。

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