定額全国住み放題サービス『ADDress』の未来
月額4万で全国の家に住み放題となるコリビングサービスとして話題沸騰中の『ADDress』紹介記事も今回で二回目。後編となる本記事では今後の展開をお聞きしながら、オーナー募集のメッセージをいただいた。
「ADDress」の今後は?
現在、利用者の約半数が東京在住の方なので、首都圏から1~2時間圏内に物件が集中しがちです。ただ利用者は全国にいますし、東京に住んでいても地方に行きたいという方もいるので、九州から札幌まで全国に拠点を作っているのですが、まだまだ利用率が低い状況です。ネックになっているのはやはり交通費です。飛行機を利用すればわずか1~2時間で日本全国に移動できて、空港から近いエリアであれば、下手したら関東近郊の拠点よりも時間をかけずに行くことができます。交通費さえ下がればもっと地方に足を延ばす可能性が高くなる。住まいも月額4万円という定額設定にしたことで、色々な場所に頻繁に行く人たちが増えているので、交通手段も定額にして行き放題になれば、さらに移動する人が増えるに違いない。住まい+移動の定額制を目指して、ANA、JR東日本、カーシェアリングのNORELと提携を始めたところです。
交通機関と連携したのちには、日本中のコミュニティを接続するような「ライフプラットフォーム」になりたいと思っています。移動が自由になって、色々な地域に住む人たちが増えてくると、定住前提の社会システムから多拠点を移動しながら生活する人たち中心の社会システムに変わっていく可能性が高まります。そうなると、近隣の学校や病院、スーパーマーケットに通うなど定住前提の生活サービスは変化せざるを得ません。例えば普段はインターネットで勉強をして、一定期間、学校で寮生活をしながら集団でアクティブラーニングをするとか、医者がADDressの住まいを利用。その地域の病院に通って医療行為を行ったり、料理人が店を構えずに色々な地域で自分の料理を提供するなど、スキルを持っている方が各地で力を発揮しながら自分の生産活動の場を拡大していくことが可能になります。その時には、長期滞在をする住まいが必要で、ADDressがプラットフォームとしての住まいになっていけると思っています。これから病院や学校など、様々な団体や業種と提携を進める予定ですし、実際に弊社と契約する法人会員の中には医療法人があり、地方で医療行為をしたい医師のための住まいを用意する手段としてADDressを活用するという動きも始まっています。看護師や教師など、スキルのある方の利用が間違いなく増えていくという、そんな手ごたえを感じています。
読者へのメッセージをお願いします。
全国にADDressの家を増やしていく段階にあるので、各地域で物件を提供してくださるオーナーを募集しています。長年放置されてボロボロになった家屋だと改修費がかかって大変なので、できれば状態は良いけれどあまり活用できていない別荘や、これから使わなくなるという物件、手放すにしても人に貸すまでいかない物件などをご提供いただければと思います。オーナーが使いたいときは使って、残り大半の空き家の期間だけ私たちに貸し出していただくという柔軟な対応も可能です。
また、オーナーさんだけでなく、これから田舎で暮らしたいとか、別荘を持ちたいとか、家賃収入を求めるなど、オーナーになりたいという方も募集しています。全国には安価で状態の良い空き家がたくさんあり、リノベーションを掛ければ十分に利用できる状態になります。初期費用は必要ですが、ADDressに貸し出す前提であれば、毎月の返済と弊社からお支払いする賃借料でペイできるケースがほとんど。ほぼ無料で自分の別荘が持てて、家賃収入が入ってくる、新しい時代の不動産オーナーのカタチを作っていければと考えています。管理運営は弊社が実施。掃除や保険加入、近隣との関係性も私たちが責任をもって対応するので、オーナーさんは私たちに貸し出すだけでOK。是非ともお声がけいただければと思っています。
◆モビリティパートナー
多拠点ライフプラットフォームへ展開を拡げ、各領域との提携を強化。第一弾として、JR東日本スタートアップ、ANA(月額3万円(税込)の追加料金で、指定された一部路線で月2往復の航空機搭乗が可能に) NORELと提携。飛行機・電車・車の移動コストを大幅に下げ、定額制の「住まい+移動社会」の実現を目指す。
◆プロフィール
株式会社アドレス
https://address.love/
代表取締役 佐別当隆志氏
株式会社ガイアックス在籍中、16年に一般社団法人シェアリングエコノミー協会を設立。内閣官房、総務省、経産省のシェアリングエコノミーに関する委員を務める。18年、アドレス代表取締役社長、19年シェアリングエコノミー協会常任理事に就任
※豊かな暮らしを創るコミュニティ・ペーパー「ZENCLUB」2月号に掲載